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開業医になるにはどんな準備や手続きが必要?税金も紹介!
2023.03.31お役立ちコラム
医療業界で働くには、医療機関に勤めるだけでなく開業医になる選択肢もあります。
しかし、実際に検討するとなると「どのような手続きがあるのか?」「準備すべきものが分からない」「税金ってどうなるの」など、分からないことも多いでしょう。
今回は、開業医になるにはどのような準備や手続きが必要なのか、払う税金も紹介します。
開業医になる道を検討している人や、開業に向けた流れが気になる人は参考にしてみてください。
開業に向けて必要な準備
開業医になるには、多くの準備や手続きが必要です。
スムーズに開業するためにもやることをリスト化して、優先順位を決めたり期限日を書き出したりして、漏れがないようにしましょう。
コンセプトが果たす役割
コンセプトは開業医になるための重要な指標となるだけでなく、開業した後の集患や増患、マーケティングや宣伝・広告の軸となるポイントです。
特に医療業界は、宣伝や広告において医療広告ガイドラインを遵守しなければなりません。
薬事法も関わることになるので、関連法規とコンセプトの兼ね合いを考慮する場面もあります。
経営方針の決定や軌道修正など、決断しなければならない場面もあり、コンセプトが明確であれば判断基準を定めやすくなります。
開業資金の用意
開業医になるには、開業資金の用意が欠かせません。
目安が気になるところですが、開業エリアや診療科、土地の規模や必要となる医療設備が関係します。
不動産が安く小規模の内科が5,000万円前後で開業できるケースもあれば、透析内科のように医療機器の関係で広い土地を確保しなければならず土地価格が高いケースもあるなど、開業資金の相場は一概に言えません。
前述したコンセプトは、開業資金とも関連します。豪勢なコンセプトを打ち立てても、開業資金の調達が現実的ではなければ経営面でも厳しくなる可能性があります。
金融機関の融資も、納得させられるような資料の作成が必要です。
開業支援セミナーやコンサルタントの利用も視野に入れて、現実的なコンセプトと資金調達を計画しましょう。
不動産や物件の確保
開業医の物件探しは、コンセプトやマーケティングもベースにしなければなりません。
人口が少ない町では経営が難しい、利便性が悪いエリアでは集患しにくい、駐車場が確保できない物件では通える人が限定されるなど、開業後の経営が左右されます。
物件を用意し開業した後、集患ができず移転となれば大きな出費です。
不動産会社のなかには、開業医におすすめのエリアを把握していたり、開業するのに適した土地を所有しているところもあります。
不動産の物件や確保において、不動産会社に相談し協力をお願いしましょう。
医療機器や事務備品などの準備
開業するには設備準備が必要です。
電子カルテや内視鏡などの医療機器、電話やパソコンやベッドなど、診察や治療に欠かせないものをリスト化して、漏れがないように準備しましょう。
医療機器は購入だけでなく、リースで初期費用を節約することも可能です。
開業医向け専門業者を利用すると、病院の規模や経営に支障のない機器の提案が受けられます。
人材確保
クリニックや診療所の開業は、医師だけでなく看護師や事務スタッフなどの人材確保が必要です。
福利厚生や雇用条件、給与などを決めてハローワークや広告を使って求人を出します。
求人広告も費用が発生し、面接や選考など手間と時間もかかりますが、経営を軌道に乗せるため重要なポイントです。
雇用はトラブルのリスクもあるため、社会保険労務士やコンサルタントも活用しましょう。
医師会への加入検討
日本医師会への加入は任意です。医師との繋がりができたり医療機関との連携といったメリットがあります。
自治体の助成事業の委託がくる可能性も。
一方で、日本医師会・都道府県医師会・地区医師会の3つはセットで加入しなければならず、年会費も発生します。
入会する場合には年会費の用意をしておきましょう。
弁護士などとは異なり、医師会に加入していなくても、開業することは可能です。しかし、
開業するにあたり提出が必要な書類
ここでは、開業するにあたって提出が必要な書類や申請を一覧で紹介します。
・開設許可、診療所開設届
・保険医療機関指定申請書
・施設基準届出書
・個人事業開業届
・青色申告承認申請書
・青色事業専従者給与に関する届出書
・労務関係書類(労務・雇用保険・健康保険・厚生年金保険等)
・診療用X線装置設置届
・所得税のたな卸し評価方法、減価償却資産の償却方法の届出書
・源泉所得税の納期特例の承認に関する申請書
有床診療所であれば、診療所使用許可申請書も必要です。
開業医が取得すると役立つ資格
医師免許を持っていることは大前提として、開業医が取得すると役立つ資格があります。
必須ではないものの、開業後の経営において有効なので参考にしてみてください。
学会認定専門医
学会認定専門医とは「それぞれの診療領域において適切な教育を受け、十分な診療技能(専門的知識・診療経験と患者本位の診療態度)を修得し、患者から信頼される標準的な専門医療を提供できる医師」のこと。
学会認定専門医になると患者からの信頼だけでなく、他院や同業者からの信頼アップに繋がるというメリットがあります。
防火管理者
医療機関は、消防法の関係で勤務人数や収容人数により、防火管理者を選任しなければなりません。
所轄の消防署へ「防火管理者選任届」や「消防計画書」などを提出する必要があることから、開業する医師が防火管理者の資格を持っておくと、人材確保がスムーズになります。
病院経営管理士
一般社団法人日本病院会の認定資格です。通信教育で医療や経営管理などを学び、卒業すると付与されます。
医師以外の病院経営に関わる職種が対象なので、院内における人材育成の観点から導入するのもよいでしょう。
医療経営士
一般社団法人日本医療経営実践協会が認定する資格です。医療経営の基本から経営の意思決定が可能となるレベルまで、等級ごとに分かれています。
医療機器メーカーや医薬品会社に勤務する人も所有する資格で、病院経営に関わる知識やノウハウを学べることがメリットです。
医療経営コンサルタント
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会が認定している資格です。
コンサルタント業向けの資格ですが、知識レベルと能力の向上が図れるため、近年は開業医になるために取得するケースも増えています。
開業医が払う税金
開業医になると発生する税金は、個人事業主と医療法人で異なります。
個人事業主の場合
個人事業主で開業した場合は、主に次の3つの税金が課せられます。
・所得税
・住民税
・事業税
所得税には累進課税が適用されます。住民税は10%、事業税は290万円を超えた分に5%がかけられます。
医療法人の場合
医療法人として開業すると、次の税金が課せられます。
・法人税
・地方法人税および住民税
・事業税
法人税は、資本金1億円以下で所得金額年800万円以下であれば15%。所得金額が年800万円以上であれば超えた分の23.2%。資本金が1億円を超えれば23.2%です。
地方法人税および住民税は、法人税の17.3%または20.7%となっています。
事業税は所得の3.4~5.23%です。
まとめ
開業医になるには、実にたくさんの工程があります。開業後の経営にまで影響するものばかりなので、慎重に検討し計画を立てて、済ませていかなければなりません。
書類や手続きも膨大なので、ToDoリストを作成するなど工程管理も重要です。
ここで紹介した内容を基に、漏れのないよう進めていきましょう。